公正取引委員会は2月4日、「外航海運に係る独占禁止法適用除外制度の在り方について」と題する報告書を公表した。
それによると、現在、独禁法適用除外とされている主な協定である、同盟/協議協定/コンソーシアム/配船協定について、いずれも“適用除外とする必要があるとはいえない”とし、“外航海運の独占禁止法適用除外制度を維持すべき理由は存在しない”と結論づけている。
公取は、独禁法適用除外制度が自由経済体制において、あくまで例外的な制度であり必要最小限にとどめるべきとの立場を示している。外航海運においては海上運送法(1949年制定)に基づき、独禁法適用除外制度が適用されており、1999年、2006年、2010年の3回にわたり見直しが行われ、国際的な制度の整合性や荷主の利益保護を主な理由として同制度が維持されてきた。
しかし、前回の見直しから約5年が経過し、公取による自動車船運航船社に対する審査で同盟が形骸化している事実が認められたことを踏まえ、外航海運と独禁法適用除外の現状について、船社や荷主にヒアリングを行い実態を調査し、独禁法適用除外制度を維持する理由があるかの検討を行ったもの。概要を以下のようにまとめている。
1)米国/EUでは、反トラスト法またはEU競争法のそれぞれの適用除外の対象範囲が異なっているため、国際的な制度の整合性を理由として、日本における独禁法適用除外とする必要がない。
2)荷主は運賃の安定よりも運賃水準等を重視することや、同盟のタリフ/協定の運賃ガイドラインが実際の運賃に大きな影響を与えていないことから、同盟および協定は、運賃の安定化による荷主の利益保護の観点から、独禁法適用除外とする必要があるとはいえない。
3)コンソーシアムおよび配船協定による運送スペースの融通や運航スケジュール、運航回数、航路等の調整については、基本的に独禁法上問題とはならないものと考えられるため、コンソーシアムおよび配船協定を独禁法適用除外とする必要があるとはいえない。
公取は今後、報告書で示した考え方を踏まえ、国交省との協議に対応していくとしている。