川崎汽船(KL)は、オーストラリアのイクシスLNGプロジェクト向け新造LNG船の命名式(写真)が9月1日に川崎重工の坂出工場で行われたと、このほど発表した。同船は「太平洋を渡るそよかぜ」という意味をこめてPacific Breezeと命名された。
イクシスLNGプロジェクトは、国際石油開発帝石(INPEX)が日本企業初の大型LNGプロジェクトのオペレーターとしてオーストラリアでLNG生産を進めていくもの。
新造船は、INPEXの子会社と仏の石油・天然ガス大手TOTAL S.A.との共同出資会社であるIT Marine Transport Pte. Ltd.と、KL子会社のPacific Breeze LNG Transport S.A.間の定期傭船契約に基づいて、同プロジェクトに投入される。
主に液化基地であるDarwinから、同プロジェクトがLNG売買契約を締結している台湾中油(CPC Corporation, Taiwan)に向けてLNG輸送を行っていく。
同船は川崎重工が新たに開発した世界最大級のモス型LNG船であり、球形タンクのモス型LNG船としては世界で初めてTri-Fuel Diesel(TFD)エンジンを採用したことで、重油のほかSOxなど大気汚染物質の排出が少ない軽油や気化ガスの3種類の燃料が利用できるため、環境保全に配慮した輸送が可能だという。
KLでは、1983年に就航した日本船社初のLNG船「尾州丸」以来、30年以上蓄積してきたノウハウとネットワークを生かして、さらにLNG輸送事業の拡大に取り組んでいくとしている。