国土交通省は2月18日〜22 日にLondonで開催されたIMOの汚染防止・対応小委員会第6回会合(PPR6)において、SOxスクラバー(排ガス洗浄装置)の排水を禁止しないことを表明した。
生物試験や成分分析、シミュレーションによる排水の環境影響に関する科学的な検証を行った結果、短期的にも長期的にも排水が環境に影響を与える可能性は著しく低いとの結論に至ったことを説明した。
排出ガス中に含まれるSOxや、大気中でSOxから二次的に生成されるPM2.5は、大気中を拡散して人体に健康被害のリスクを引き起こすが、SOxは海水に溶けることで、もともとの海水中に含まれる成分に変化するため、排水が海生生物へ影響する可能性は低いと考えられている。
また、今会合では不正な燃料油の使用防止などのために策定するSOx規制の統一的実施ガイドライン案が、日本の提案を盛り込んでまとめられた。
本年5月の第74回海洋環境保護委員会(MEPC74)で、最終的な採択の審議が行われる予定。
現在、世界の一部地域でSOxスクラバーからの排水を禁止する動きがある。昨18年11月にシンガポールが、同国港湾内でのスクラバー洗浄水の排出を2020年から禁止する方針を決定。ことし1月には中国が国内の内陸河川や沿岸部の排出規制水域(ECA)で洗浄水の船外排出を禁止した。
両国とも規制ではECAでのオープンループタイプのスクラバーが利用できなくなる。世界最大の需要国である中国で洗浄水の船外排出が禁止されたことで、今後さらに他国にも同じ流れが広まる可能性がある。関係者は2020年からの全海域でのSOx規制を見据え、排水規制の拡大を懸念している。