日本船主協会の武藤光一会長(商船三井会長、写真)は3月27日の定例会見で、主にSOx規制に関する国内外での対応など、当面する海運問題について、概要、次のように語った。
■2020年1月からのSOx規制では、適合油/スクラバー/LNGなどの代替燃料、という3通りの対応策がある。このうち、適合油では品質のバラツキで現場が困らないような施策を要望する。また、十分な量の確保が必要だ。
■適合油の価格はA重油(マリンオイルガス)と同じくらいで、現在のC重油に比べてトン当たり150〜200ドル高くなるのではないかと思う。業界全体で3兆円、邦船大手1社で1000億円ほどの燃油料の負担増が見込まれている。環境対応コストなので社会全体で負担していただかないと、海運界の事業継続が危うくなってしまう。
■スクラバーは家一軒ほどの大きさなので、大型船でないと搭載できないが、現在C重油で運航している大型船のうち10数%程度が、スクラバーを搭載すると見込まれる。
適合油への転換によるコスト増からすると、スクラバーは2〜3年で元がとれるとされるが、適合油が主流となって、従来のC重油の供給が確保できなくなる懸念もある。
■LNG(液化天然ガス)は優れた代替燃料だが、LNG燃料のサプライ船の建造など、その供給体制の整備にはまだ時間がかかりそうだ。
■規制強化に伴って、低品質な不適合燃料を使用する不正が発生する懸念もある。
そうした不正はPSC(ポートステートコントロール)などで厳重に取り締まり、公正な規制の運用を当局に要望したい。