日本船主協会の武藤光一会長(商船三井会長、写真)が5月22日に定例会見し、6月の退任を前に任期2年間を振り返って、概要、次のように語った。
▪トン数標準税制は2018年から便宜置籍船にも適用されるようになったが、諸外国は海運企業維持/海事ノウハウの喪失防止/海運企業誘致といった観点から優遇税制を施行している。日本海運の競争力維持の見地から、さらなる改正が必要だ。
▪前任の工藤会長時代からの、小中学校の指導要領改定への働きかけが奏功し、小学校の教科書は2020年から、中学校は2021年から海運について記載されることになった。国民に海運の重要性を認知してもらうことは、税制改正へのコンセンサスや、海運界への若者の就業促進にプラスだ。
▪2020年1月からのSOx規制強化で、燃料油のコストは大きく増加する。環境対策のためのコスト増であり、社会全体で負担してほしい。
▪ソマリア沖の海賊問題は襲撃事件がほぼなくなっているが、地域経済の破綻という海賊発生の根本問題は解決していない。また、西アフリカなど他海域での海賊事案が発生している。↗
▪米中経済戦争のほか、インドネシア/ロシアなどで海運の自由を阻害するような動きがあることを懸念している。