ドイツLufthansa Cargo(LCAG)のDorothea von Boxberg取締役チーフ コマーシャル オフィサーがこのほど来日して、1月29日に東京千代田区の紀尾井カンファレンスで記者会見を開き(写真)、概要、次のように語った。von Boxberg取締役は同職就任後、初の来日となる。
(1)過去数年間、航空貨物の需要は伸びてきており、特に2017、18年は著しく増加した。中でも日本発の需要は大きく増加し、スペースは常にタイトだった。そうした背景の中で、LCAGの貨物輸送への供給キャパは世界の貨物キャリア中、第3位であったが、売上高で見ると、トップの座を占めている。
(2)貨物キャリアとしてLCAGが顧客から第一の選択肢になるべく、現在、“Cargo eVolution”と称するサービス改善のための戦略を推し進めている。これは、高いサービス品質/(輸送・作業の)プロセス改善/より良いサービスと状況を顧客にもたらすため。例えば、新規顧客層の開拓に向けて、子会社time:mattersを活用して、高速ロジスティクス分野に注力しているのもそのひとつだ。
(3)また、他社との提携によるサービス向上にも力を入れている。ANA CargoとのJV(共同事業)は、この19年末で5周年を迎えるが、相互に重要なものとなっている。ANAの欧州直行便が増えたことでLCAGは選択肢が増えたし、ANA側もLCAGの欧州での幅広い以遠サービスを利用しているからだ。北米ではUnited CargoとのJVがあり、さらに香港〜欧州間ではCathay Cargoとの提携サービスも本年から開始する。
(4)「デジタル・トランスフォーメーション」という課題については全社的に取り組んでいるところだ。ハンドリング・プロセスの自動化や透明度を高くしていくことで、紙の書類を減らしていき、顧客との間にデジタル化された魅力的な関係を築き、そこに新しいビジネス・モデルを創出していきたい。信頼性の高い技術によって、航空貨物のデジタル・カルチャー確立をLCAGは目指している。
(5)貨物予約では、スタートアップ企業のCargo One(LCAGが出資)やFreightosと組んで、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を活用したプラットフォームを開発済みで、すでに多くのマーケットで使われている。リアルタイムでスペース状況も運賃も瞬時に把握できるプラットフォームで、これをもっと普及させていく考えだ。
(6)輸送プロセスの完全電子化であるeFreightを進めれば、紙の書類は70%も減らすことができる。その手始めとしてeAWBの普及に取り組んでいるが、LCAG全体としてのeAWB化率は74%に達しており、日本では72%となった。日本の場合、18年初頭に比べると目覚ましく増えている。現在、eDGD(危険物)を除く一般貨物はすべてeAWB化できるようになっており、さらに深化させていく。
(7)関空増便については、ことし3月から関西空港発着フレイター(MD-11F)を週2便→週3便に増便する。日本発・欧州向けの航空輸出需要は昨年、30〜35%も増えており、LCAGはその需要に応えるだけのスペースを供給できなかった反省がある。成田にはすでにキャパの大きなB777Fが入っているので、今回は関空を増便したわけだ。
(8)新造B777Fの導入については、この19年末までに新たに4機の777Fが入ってくる。同時に、現有12機のMD-11Fのうち2機が退役となる。777Fについては、DHLやAerologicとのJVに出しているものも含めて現在7機あり、これが今年末にはプラス4機で計11機になる。777Fをさらに増やすかどうかは、マーケットの状況次第だ。