IATA:米の欧州26ヵ国からの渡航禁止措置に懸念
国際航空運送協会(IATA)は3月12日、米政府による欧州シェンゲン協定加盟国からの米国への入国を禁止する措置について、航空業界の甚大な経営危機につながりかねないとして懸念を表明した。米政府は前日の11日、欧州シェンゲン協定26ヵ国(英国は非加盟)からの米国民を除く渡航者について、同13日から向こう30日間、入国を禁止する措置を発表している。
IATAのAlexandre de Juniac事務総長兼CEOは、この米国の措置について、「(新型コロナウイルス感染の拡大という)非常時に対応した前例のない措置だが、安全と健康が最優先されることは当然。しかし、各国政府はこの措置によって航空企業が財務・運営面でとてつもない危機に直面することを理解すべきだ」と、警鐘を鳴らした。
de Juniac事務総長によれば、欧米間の航空市場規模は定期便のみの19年実績で1日当たり550便、年間で20万フライトが提供されており、1日に12.5万人、年間4600万人の旅客が移動する巨大なマーケットであり、この動きを止めることは(双方の国家にとって)経済的に重大な落ち込みを招くことになるという。
また、世界の航空産業は今回の新型コロナによる需要の落ち込みによってすでに重大な悪影響を受けており、IATAでは3月5日付けで、世界航空業界の損失は1130億ドル(約12兆円)にのぼるとの予測を発表している。しかし、de Juniac事務総長は「この予測には今回の米政府や各国による渡航禁止措置によるマイナス影響は含まれておらず、米〜シェンゲン協定国間の市場が206億ドル(約2兆円)規模であることを考えると、損失はさらに巨大なものになる」と指摘した。
そのうえでIATAとして各国政府に対して、「こうした渡航制限などによる広範な経済影響について備えること/航空企業の財務面での弱体化に早急に対応すること/WHO(世界保健機関)の勧告にしたがうこと」の3点を要請している。IATAが指摘したWHOの勧告とは、2月29日に同機関が出した新型コロナ関連の勧告のうちの「国際輸送を停止するのは(国家が対応時間を稼ぐため)感染拡大の初期においてのみ正当化される」との部分を指している。