川崎近海汽船は7月12日、都内で業界誌紙記者を招き恒例の懇親会を開催した。
赤沼宏社長(写真)は開会のあいさつで、「近年は豪雨・地震など全国で自然災害が続き、陸上物流網が寸断された。川崎近海の海上輸送は、災害時の物流復旧にも寄与する。そうした社会貢献性を含め、海上輸送の利便性・重要性を周知していきたい」と語った。
外航事業については、「長年にわたる構造改革と、近年の市況改善の結果、昨18年度は8年ぶりに黒字転換を達成した。今年度も黒字を継続できるように、輸出鋼材/輸入バイオマス関連貨物のほか、主要貨物の日本向けロシア炭を中心に、積極的な貨物の取り込みを図る」と説明。
その上で、「需要と市況に見合う船隊整備を図り、2020年前半までに1万3000D/Wトン型ツインデッカー×3隻と1万9000D/Wトン型シングルデッカー×2隻の建造を予定している」と発表した。
また、内航事業については「定期船部門では、16年に開設した清水〜大分航路でトラックドライバー不足や安全確保に向けた労務管理強化によるモーダルシフトの加速を背景に、乗船台数が増えている。昨年は自然災害による鉄道網・高速道路網の寸断を受けた緊急代替輸送の受け皿になった。
今19年3月、新造RoRo船が常陸那珂〜苫小牧航路に就航したことに伴い、全国でRoRo船隊の組み替えを実施した。清水〜大分航路では船型を統一して利便性を高めたほか、4〜5月には日立〜釧路航路で運航船の大型化を行った。一方、不定期船部門に関しては、東京五輪・パラリンピック関係貨物の動きはなかったが、これまでの経験を生かして新規貨物の獲得を目指す」とした。
フェリー部門については、「苫小牧〜八戸航路は、投入した新造船シルバーティアラの積載能力を生かして、順調に乗船台数を伸ばしている。
また、昨18年6月に新設した室蘭〜宮古航路では、三陸復興道路の全面開通が遅れているため、乗船台数は伸びていないものの、同年9月の北海道胆振東部地震では、災害復旧に大きく貢献した。三陸復興道路の完成後は、その利便性を生かして北海道〜本州間の物流・人流をさらに活性化する」と話した。
オフショア船支援船事業では、「支援船あかつきはこれまで、地球深部探査船ちきゅうのサポートをメーンに活動してきているが、今後は洋上風力発電設置事業など、政府の海洋基本計画に沿った事業を獲得していきたい」と説明した。