国土交通省は、シベリア鉄道を利用するブロックトレーン(1編成借上げ列車)での日本〜欧州間の貨物輸送パイロ ット事業を実施、この検証結果の取りまとめを3月30日に発表した。
国交省は現在、シベリア鉄道の利便性向上を通じて、海上/航空輸送にならぶ第3の輸送手段の選択肢となるよう、ロシア鉄道と協力してシベリア鉄道の利用促進に向けた取り組みを実施している。
2018年度には日本〜モスクワ間、19年度には日本〜欧州間で、主にコンテナ1本での貨物輸送パイロット事業を実施してきており、20年度は利用検討の上で大きな課題となっている輸送コスト面の課題解決策として、割引運賃が適用されるブロックトレーンでの日欧間貨物輸送パイロット事業を実施したもの。
今回のパイロット事業で確認された検証結果の概要は、以下の通り。
(1)コストについては、ブロックトレーンによる鉄道料金の低減効果があったものの、
通常の海上輸送比で平均約2.3倍程度と、やや割高になった。
(2)リードタイムについては、海上輸送比で約半分となった(15案件中6案件において、
海上輸送比で半分以下のリードタイムを実現した)。
(3)手続きについては、通常よりも早期に貨物情報の提示を求められるなどの課題があった。
(4)輸送品質については、おおむね良好だった。
(5)ポーランド以西の欧州地域で、貨物の位置情報の確認が困難などの課題があった。
なお、今回の実証結果をふまえて参加社からは、「コロナ禍により日欧間物流が不安定化している中で、第3の選択肢としてシベリア鉄道の利用検討の余地がある」との声があったとしている。