Union PacificやBurlington Northern Santa Fe、Norfolk Southernなど米大手鉄道会社と、全米の鉄道関係労働組合との賃上げをめぐる交渉は、9月15日未明、政府の仲裁によってすべての組合との暫定合意に達した。これにより9月16日以降に突入が懸念されていた米鉄道ストライキは当面、ぎりぎりの時点で回避されたことになる。
米鉄道の雇用者側を代表して今回の交渉に臨んでいる全米輸送会社会議委員会(NCCC)と、約11万5000人の組合員を抱える合計12にのぼる鉄道労組との賃上げおよび待遇改善をめぐる2年におよぶ労使交渉は、一部の組合側の強硬な姿勢によって解決が危ぶまれていた。
同交渉が暗礁に乗り上げてから、バイデン政権はことし7月、大統領緊急委員会(PEB)を設置し、交渉妥結に向けた勧告案を提示していた。その内容は、「2020年から2024年までの5年間で複利24%の賃上げ(即時発効は14.1%)と、同期間中の毎年1000ドルの特別ボーナス支給」というもの。
雇用者側NCCCが歓迎したこのPEB勧告案は双方の主張の中間を取った形だが、労組側は9月上・中旬までに複数の組合が合意したものの、2、3の組合が強硬な姿勢をみせていたことで、合意形成に影を落としていた。
これら強硬な組合の主張は、賃上げはもちろん、さらに労働条件の改善にまで及んでいたからである。過去、米大手鉄道はコスト削減のために従業員の30%近くを解雇しており、その結果、現場の人手不足が顕著になり、休暇が取れず病欠も非難され、心身の負担が過重になっていると指摘し、そうした状況の改善が必要との思いが、労組側に強くあったのだった。
しかし今回のPEB仲裁では、そうした待遇改善への道も開いているようで、Marty Walsh労働長官が乗り出した15日の説得で、最後に残った組合もPEB勧告案で暫定合意したもの。
これによって全米鉄道が止まって膨大な産業物資の国内サプライチェーンが停止し、米国に1日当たり20億ドル(約2900億円)の損失をもたらすという事態は当面避けられた。
ただし、今後、1〜2ヵ月をかけて、今回の暫定合意案を承認するかどうか、組合員による最終的な投票が行われて批准されることになっており、その結果を待たないと、完全妥結とはならない。
暫定合意案について、組合のサイトにはまだ多数の組合員からの不満が寄せられていると現地報道されており、まだ楽観的な見通しには早い段階だ。