日本郵船は11月20日、同社用船の自動車船GALAXY LEADER(4500台積み)が現地時間19日に、紅海南部のイエメン・ホデイダ沖を南下中に拿捕されたと発表した。
積荷はないものの、拘束された乗組員は25名で日本人は含まれていないとされている。
同日、イエメンのイスラム系武装組織フーシがSNSを通じて犯行声明を発表した。同船の船主であるギャラクシー社がイスラエル系船主であるとして、現在のイスラエルによるガザ侵攻において、ハマス側を支援するための犯行としている。
日本郵船では同日、社内に対策本部を設置して対応や情報収集に当たっているが、今回、同社は用船者の立場であり、乗組員と船舶の解放に向けた交渉主体は、本来的には船舶を保有し船員配乗まで行う船主と船舶管理会社が担うことになる。
ただ、今後の紅海ルートの海上輸送を考えると、今回の事件が引き起こす問題は、世界の海運業界や国際物流業界にとって深刻だと言わざるを得ない。
紅海はスエズ運河を通じて欧州とアジアを結ぶ重要な海上交通路である。今回拿捕された自動車船をはじめ、超大型コンテナ船からプラント船やバルクキャリアまでありとあらゆる船舶が、欧亜間で動く大量の貿易物資を海上輸送する大動脈なのである。
その紅海海域が危険なルートとなれば影響は甚大ということは誰でも理解できることだろう。
世界の海運業界はまず、イスラエル系船主の船舶をスエズ経由では使えなくなる。自動車船のみならずコンテナ船その他の船種でも同じだろう。
この事件を契機に、国際海運業界は中東地域への配船に改めて神経質にならざるを得ないようだ。中東各国の港湾における安全が担保されても、往来する海域が危険なのでは実に悩ましい。
イスラエル・ハマス紛争が終結するまでの間、ソマリア沖・アデン湾で行っているような各国派遣の護衛艦方式も考えられるが、軍艦が紅海域で活動することを沿岸諸国が認めるかどうか。
悩んでいるより、時間とコストをかけてもいい貨物は、いっそのことアフリカ南端の喜望峰回りを選ぶケースが増えるかもしれない。
国土交通省海事局も現在、日本郵船や関係省庁と連携を図って情報収集中という。日本船主協会にも紅海域を含め、航行安全の注意を喚起している。