日本郵船(NYK)は12月12日、JERAおよびレゾナックと、燃料アンモニアの船舶への供給に向けた共同検討に関する契約を締結したと、このほど発表した。
海運では現在、温室効果ガス(GHG)削減策として船舶用燃料を従来の重油からLNG、さらに水素やアンモニアといった次世代のゼロエミッション燃料に転換する研究開発が進んでいる。
アンモニアは、燃焼してもCO2を排出しない次世代燃料として期待されており、さらにアンモニアの原料となる水素にCO2フリー水素を活用することで、燃料のライフサイクルまで考慮したゼロエミッション化の実現が可能と言われている。
NYKは従来、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)による“グリーンイノベーション基金事業”において、アンモニア燃料国産エンジンを搭載したタグボート「A-Tug」の研究開発を、パートナー会社と進めてきた。
NYKでは今回、「この取り組みの一環として、来24年6月に予定されるA-Tugの竣工に合わせて、世界で初めてとなる燃料アンモニアの船舶への安全・安心な供給の実現に向けた取り組みを、JERAおよびレゾナックと共同で検討する」としている。
具体的な検討内容は、燃料供給に関する安全な運用方法の確立/燃料アンモニアの港湾地区への輸送・受け入れ体制の構築/船舶用燃料供給に関するルール形成に向けた関係各所への働きかけ、など。
現在、アンモニア燃料エンジンを搭載した船舶へアンモニアを補給した事例はなく、この共同検討によって海運分野における燃料アンモニアの普及促進が期待される。