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川崎汽船:風力推進船の開発に向け新会社
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川崎汽船:風力推進船の開発に向け新会社

 川崎汽船(KL)は2月16日、フランスに現地法人としてOCEANICWING S.A.S.を1月18日付けで設立したと発表した。

 この新会社はAIRSEAS社(仏)が開発を進めている自動カイトシステム「Seawing(風力推進)」事業を2月15日付けで継承し、カイト(凧)船“Seawing”技術の確立と製品化に向けた取り組みのさらなる強化と加速を目指すとしている。

 風力を活用する“Seawing”は約20%のCO2排出削減効果が見込まれ、LNG燃料船など燃料転換への取り組みとの相乗効果によって、CO2排出量の大幅削減を可能とする省エネ設備とするもの。

 この構想では、自然エネルギーである風力を活用するため、さまざまな船種のほか、新造船のみならず既存船にも搭載可能な汎用性も特徴とされる。

 同社では、環境に関わる長期指針として「“K”LINE 環境ビジョン2050 〜青い海を明日へつなぐ〜」を掲げて、国際海事機関(IMO)が定める2030年目標であるところの「CO2排出効率を2008年比40%改善」を上回る「同50%改善」という目標を設定し、さらに2050年目標としてGHG排出ネットゼロまで掲げているところ。

 そのために、中期経営計画として投資額全体の6割を集中的に環境対応に充てる方針で、実際に(1)LNG燃料船の導入推進、(2)自動カイトシステム“Seawing”搭載、(3)CCSバリューチェーン構築に向けた液化CO2輸送船事業のさらなる拡大など、低炭素・脱炭素化に向け積極的に取り組むほか、アンモニア/水素燃料等のゼロエミッション船の実用化に向けて、各種協議会や実証事業へ積極的に関与している。

 こうした積極活動が評価されたKLは、2月6日にCDP気候変動質問書における最高ランク評価である2023年「Aリスト」企業にも選出された。これは8年連続の選定という快挙。

 このカイト船構想が世に知られた当初は、「帆船時代に逆戻りか」などの揶揄も聞かれたが、悲願の海運業界GHG排出ネットゼロをめざすには、ありとあらゆるアイデアを取り入れる必要がある。ファンタジーではない現実のカイト船がKLによって近く実現される。

Last Updated : 2024/02/22