国土交通省の海事局海洋・環境政策課は3月7日、グリーンイノベーション(GI)基金における“次世代船舶の開発プロジェクト”のうち、「アンモニア燃料船」にかかわる追加の研究開発について、具体的な「研究開発テーマと実施者」を決定したと発表した。
日本では海運業界の2050年カーボン・ニュートラル目標に向けて、国立研究開発法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」が設けたGI基金を活用した「次世代船舶の開発」プロジェクトが進められている。国交省でもその次世代燃料船の「研究開発・社会実装計画」を策定し、2021年から水素やアンモニアなど、CO2を排出しない代替燃料船に関する研究開発を指揮してきたところ。
今回、そのうちの「アンモニア燃料船の開発」について、より高い安全・環境性能目標を達成するため、同省は従来の研究開発・社会実装計画を一部改定しており、それに基づいてNEDOが新たに、
(1)船舶用アンモニア燃料エンジンの排ガス中の亜酸化窒素(N2O)を除去するための機器の開発
(2)アンモニアの漏えい対策のための機器(計測・検知・回収)の開発、
という2つのテーマについて研究開発の公募を行い、それぞれの実施者を決定したというもの。
今回決定したアンモニア燃料船に関する開発事業者は次の通り。
(1)については、日立造船と日本郵船が担当し、「アンモニア燃料船搭載のN2Oリアクタの開発」を行う。これは、アンモニア燃料船の主機として想定されるエンジンから排出されるN2O(CO2の約300倍の温暖化効果)を除去する装置(N2Oリアクタ)と、それに使用する触媒を開発する作業だ。想定事業規模は約19億円で、うち約13億円をGI基金から支援する。
(2)に関しては、伊藤忠商事と富士電機が起用されており、「アンモニア燃料船サプライチェーン構築における周辺機器の開発」を実施する。
こちらは、アンモニア燃料船サプライチェーンの構築に際し、アンモニア利用拡大にともない必要となる高度な安全対策のため、アンモニアの高感度計測、微量漏えい検知、回収・再利用技術を開発するもの。事業規模としては約4.5億円を想定、うち3億円が基金から支援される。
国交省では、この2点の研究開発によって、アンモニア燃料船の社会実装に向けて、より高い安全性と環境性能を実現し、海事産業におけるわが国の国際競争力強化につなげていくとしている。夢の新燃料船へのプロジェクトがいよいよ具体的に動き出したのだ。