財務省が4月17日に発表したところによると、本年3月の日本の輸出額は、3月としては過去最高の9兆4696億円に達したことが分かった。単月の記録としても統計史上2位の額になる。
これは、対前年同月比では7.3%増と、4ヵ月連続の増加となっただけでなく、輸入(9兆1031億円)も大きく上回ったため、3月は3ヵ月ぶりの貿易黒字を達成したことも示している。
このところの日本の輸出の好調さは、1〜3月の第1四半期で見ても顕著だ。この24年同期の輸出額は約25兆円に達し、昨23年同期の23兆円を8.7%上回っている。
全般的に好調だった輸出製品のうち、財務省では自動車(前年同月比7.1%増)、半導体電子部品(同11.3%増)、船舶(36%増)の3品目が特に良かったとしている。
輸出相手で見てみると、米国向け輸出は30ヵ月連続で増えており、3月は1兆8199億円(前年同月比で8.5%増)となった。14ヵ月連続の黒字であり、米国が最大のお得意さまであることは変わらない。
ついで中国向けが1兆7474億円で(同12.6%増)と、こちらもまずまず好調。この中国と米国とで日本の輸出額の約4割を占めているわけだ。
対EU輸出も決して悪くない。3月も9027億円で、伸び率こそ3%増だが、こちらも4ヵ月連続で前年比プラスを続けている。
こうした日本の輸出好調の背景には、やはり、長きにわたってじわじわと下落を続けてきた“円安”があると考えていいのではないか。
その円の価値たるや、4月末には瞬間風速的に1ドル160円まで低下するレベルになった。識者の一部は、日本政府が果断かつ継続的な介入をするはずがないと市場に足元を見られているため、中長期的に円は続落傾向だろうと見る。
となると、海外から見れば相対的に「日本製品がどんどん安くなる」わけだから、今後も買いやすい状況が長く続くことになる。
一方で、あらゆるモノの輸入価格は上昇を続けている。国内の物価は当然、押し上がる。国民の暮らしは、収入がそのぶん増えない限り、苦しくならざるを得ない。輸出が絶好調だからといって、日本全体としては、なかなか手放しで喜べないのがもどかしいところ。