公正取引委員会(以下、公取委)は、荷主と物流事業者との取引に関する調査結果を6月9日発表した。
今回の調査は、荷主と物流事業者との間の物品の運送または保管に係る継続的な取引を対象として、荷主と物流事業者計7万者に書面調査を実施したもの。
書面調査の結果を踏まえ、現下の労務費、原材料価格、エネルギーコスト等のコスト上昇分の取引価格への反映の必要性について協議をすることなく取引価格を据え置く行為等が疑われる事案について、荷主121名に対する立入調査を実施した。
また、書面調査と立ち入り調査の結果から、独禁法上の問題につながる恐れのあった荷主573名に具体的な懸念事項を明示した注意喚起文書を送った。内訳は製造業荷主が265名、卸売・小売業者178名、その他組合など130名となっている。
その公取の発表の中で、独禁法違反の恐れがあるとされた事例は次のようなもの。カッコ内は注意喚起文書を送付した件数。
(1)買いたたき(239件)/(2)代金の減額 (142件)/(3)代金の支払遅延(117件)/(4)不当な給付内容の変更およびやり直し(106件)/(5)不当な経済上の利益の提供要請(45件)/(6)割引困難な手形の交付(31件)/(7)その他(7件)。
このうち(5)では、「物流業務に付帯して輸入通関業務を委託する際、関税・消費税の納付を立て替えさせ、物流業社が荷主による直接納付を求めても応じなかった」との、輸入者に代わって関税や消費税を立て替える行為ついての事例が挙げられている。
通関業界で長年の悪慣行とされる「関税の立て替え払い」については、通関業者が当該荷主との取引数量や取引額の増加など立替え払いによって得られる「直接的な利益」が通関業者に明示され、それが立替え払いの負担を上回っていなければ、(5)の不当な経済上の利益の提供要請とみなされ、独占禁止法上の問題につながる恐れがあるとしている。
公取委は、2021年度調査で、初めて正式に文書で指摘を行い、荷主側に強く注意喚起した。ことし3月には国会でも「関税の立て替え払い」問題が取り上げられており、公取委は改めて独禁法上問題になる恐れがあるとの見解を示していた。今回、3年連続で関税立て替えを取り上げており、公取委として強く問題視していることを明示した。
これにより、荷主と通関業者との間で長年続いてきた慣習の見直しがさらに進む可能性がある。