Maerskはこのほど2026年〜30年にかけての船隊刷新プログラムを発表、将来的に50〜60隻の約80万TEU分の新造船を整備する。このうち30万TEUを自社運航とし、残りの50万TEUを長期用船とする計画としている。
Maerskは「新造計画はキャパシティ増強ではなく、既存船との代替整備となるため、船隊規模は現在の430万TEUを維持する」と説明している。高齢船を環境性能の高いコンテナ船にリプレースすることで、温室効果ガス削減を進めていく方針だ。
新造船については脱炭素化への取り組みに沿ってすべて二元燃料コンテナ船とし、新燃料についても将来の環境規制の枠組みとグリーン燃料の供給量を考慮して決定するとした。Maerskは「船隊の長期的な競争力と脱炭素化目標を達成するため、メタノールとLNG(液化天然ガス)のデュアル燃料推進システムの組み合わせを選択した。当社が導入を進めているグリーンメタノールが短期的には脱炭素化への競争力が最もあると考えているが、液化バイオメタンを含むコンテナ船業界の対燃料化の未来も予測している」との見解を示した。
新造船がすべて竣工すれば、先行発注しているメタノール二元燃料船も含めて、Maerskの船隊の25%が二元燃料船となる。計画では二元燃料積載能力は約35万TEUになるとしている。
昨今、コンテナ船業界ではLNGやアンモニア、メタノールといった次世代燃料対応のコンテナ船の発注が進んでいるが、Maerskはメタノール燃料船を積極的に発注し、新燃料の本命としてグリーンメタノールを有力視してきた。
現段階でメタノール燃料船25隻をオーダー済みで、そのうち5隻を受領しており、残りの20隻も順次デリバリーされる予定。
今回の刷新計画ではこれまで整備を進めてきたメタノール以外の新燃料が新たに選択肢に入ったことになる。すでに同社では、今後10年間に新しい二元燃料船の燃料を確保するため、バイオメタンを液化したバイオLNGのオフテイク契約(長期供給契約)の締結作業を開始しているという。
次世代燃料の主流が何になるかは不透明ではあるが、Maerskは次世代燃料を多様化していくことで、あらゆる可能性に対応できる体制づくりを目指す。