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港湾混雑に紅海危機+台風頻発で船社オペレーターは受難の時代
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港湾混雑に紅海危機+台風頻発で船社オペレーターは受難の時代

 例年、8月から9月、10月は海運会社のオペレーション(運航)業務をつかさどる担当者にとっては、緊張の連続を強いられる季節である。

 大型の台風が次々と日本近海に襲来して、船の運航スケジュールがズタズタになるからだ。船社オペレーターはこの季節になると、特に神経を払って天気図とらめっこしながら日々、船の安全運航に気を使うことになる。

 船社オペレーターは、船をスケジュール通りに目的地まで安全に届けるための運航管理を行う。船が寄港する港や航路を示す運航スケジュールを作り、船と寄港地へ密に連絡することで、船の運航を陸側から支えている。

 本船運航は気象・海象に大きく左右されるため、日々航路の天候や海象の状況をチェックしつつ、最も安全で効率の良いスケジュールを計画するのが仕事だ。

 ところが気象・海象以外に、コロナ禍の悪影響が外航船の運航にまで及ぼしてきた2020年春以降、船社オペレーターは毎年、最悪の受難の時代を迎え続けていると言っても過言ではない。

 物流業界人なら思い出したくもないコロナ下で自然発生した船腹供給危機や港湾混雑によって、船社の運航船腹は世界中のあちらこちらで停滞し、それをカバーするために臨時船の投入に追われまくった。この時期、船社オペレーターはほとんど寝る間もなかったと聞いている。

 それがようやく一段落したら、今度は紅海におけるミサイル・テロによってスエズ運河が通れなくなった。アジア〜欧州航路は帆船時代並みに喜望峰経由で運航せざるを得ず、再び本船オペレーションは一時、混乱を極めた。

 その航路大転換の影響が、アジアの各ハブ港の混雑、混乱も巻き起こしている。ここでも船社オペレーターは大汗をかいてスケジュール調整に取り組んでいるところだ。

 ちなみに、来25年のアライアンス、メガキャリアの航路編成を見ると、欧州航路に関しては、紅海経由と喜望峰経由の2パターンを発表しているところが多い。事態に柔軟かつ素早く対応するために、2方式をあらかじめ決めているわけだろう。オペレーターの苦心のほどが窺われる。

 一方、台風は地球温暖化の影響を受けてか、例年、「これまで経験したことがない規模」と頻繁に気象庁が言うほど、どんどん大型化してきただけでなく、その動き方も予測しにくい方向へ迷走したりする。オペレーター泣かせこのうえない気象・事象の時代なのである。物流関係者はそれら担当者の苦闘のほどに思いを至らせたいものだ。

Last Updated : 2024/09/27