米国東海岸、メキシコ湾岸などの港湾労働者約8 万5000人を代表する国際港湾労働者協会(ILA)と、同地域の36港のターミナル運営者を代表する米国海洋連合(USMX)との現行の労働協約の期限が9月末に迫る中、交渉が行き詰まり、10月1日以降のストライキ突入の可能性が高まっている(9月26日時点)。
ILAは9月23日、「USMXとここ数週間で、複数回コミュニケーションを取ったが、USMXが港湾労働者に受け入れがたい賃金引き上げを提案し続けているため、契約交渉は膠着状態が続いている」とした。
ILAのHarold Daggett委員長は「ILAの港湾労働者が行っている仕事や、彼らの労働力で企業が稼いでいる数十億ドルの利益を考慮すれば、このような侮辱的な提案は受け入れられない。米国東岸・メキシコ湾岸の全域でのストライキ発生についての責任は、完全にUSMXにある」と指摘した。
一方のUSMXは同日付けの声明で「現時点でILAが交渉に関心を持っているという兆候はない。USMXは米労働省や米連邦調停局(FMCS)などから連絡を受けていて、交渉の状況を常に報告している。過去に成功したように、FMCSの協力は歓迎するが、双方が調停に同意する場合のみ有効だ。ILAが交渉のテーブルに戻る気がないのであれば時間切れになる」とコメントしている。
海外メディアによれば、米政府は交渉に介入しない姿勢を固めた模様で、交渉に今後も進展がない場合、ストライキが決行されるとの見方が強まっている。
このような状況から、各船社はストライキ突入に備え、影響を最小限に抑えるべく準備を進めている。Maersk、CMA CGM、Hapagの3社は、米東岸・メキシコ湾岸貨物にサーチャージを導入すると発表した。Maerskは10月21日付けで1500ドル/TEU、CMAは10月11日付けで800ドル/同、Hapagは10月18日付けで1000ドル/同をそれぞれ課徴する方針としている。
また、Ocean Network Express(ONE)は、米国東岸・ガルフ港湾発の輸出貨物は、ドライ貨物はブッキングを受け付けるものの、10月1日以降の出港船についてはリーファー貨物のブッキングを一時休止、また内陸部からの鉄道による輸送もブッキングの受け付けを継続するが、危険物、リーファー貨物は休止すると、このほど発表している。加えてターミナルに到着済みの輸入貨物は9月30日までの搬出を推奨している。
米東岸・ガルフ港湾では1977年以来、大規模なストライキは発生していないが、いよいよ、半世紀ぶりとなるストライキ実施が現実味を帯びてきた。