海外メディアによると、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は1月19日、紅海での船舶に対する攻撃を縮小すると明らかにした。
1月15日にパレスチナのガザ地区で戦闘を続けるイスラエルとイスラム組織ハマスが段階的な停戦に合意したことによるもの。停戦は19日に発効後、3段階に分けて実施される見込みだ。
パレスチナ自治区ガザでの戦闘が始まって以来、フーシ派はイスラエルへ向かっているとみた商船を攻撃してきたが、イスラエルとハマスの間で停戦合意の第1段階が発効したことから、攻撃を停止するとしている。ただ、イスラエルの船舶に限っては3段階の停戦合意が完全に実施されるまで攻撃を続けるとしている。
フーシ派による紅海・アデン湾での民間商船への攻撃は23年末から続いており、海運会社は船員と船舶の安全を確保するため、アジア〜欧州間の海上交通の要衝であるスエズ運河を迂回し、アフリカ大陸南端の喜望峰経由にルートの変更を余儀なくされている。
スエズ運河が通航できるようになれば、コンテナ船や自動車船などの需給緩和が予想される一方で、ガザでの停戦とフーシ派が商船への攻撃停止を発表しても、船社は紅海やスエズ運河の通航に戻ることに依然として慎重な姿勢を見せる。
スエズ運河につながる紅海・アデン湾の安全が確保されなければ再開しない方針を示す船社が多く、通航再開については時期尚早との認識を示していて、中東情勢を注視する形をとっている。
本格的に紅海・スエズ運河経由へ回帰する時期は現時点では不透明だが、コンテナ船社が紅海情勢が再び安全になったと結論付けるまでに最低数週間かかり、結論が下された後、スケジュールを再調整するのにさらに数週間かかることから、短期的に業界がスエズ運河に大きく回帰する可能性は低いと見込まれている。