日本郵船（NYK）は2月25日、NYKおよび海洋・エネルギー産業にエンジニアリングソリューションを提供するシートリウム（本社：シンガポール）をはじめとする企業コンソーシアムが、共同で設計したアンモニアを燃料として稼働するアンモニア燃料供給船の基本設計承認（AiP）を日本海事協会から取得したと発表した。

　同コンソーシアムは、海運業界でニーズが高まっているアンモニアの実用化を目的としている。

　NYKによると、船の設計にはシートリウムのグループ会社LMG Marin AS（LMG）の持つ最先端の設計技術を用いており、最適なパフォーマンスや安全性、信頼性の実現によってAiPの要件を満たすことに貢献したとしている。また、LMGが開発した機関室内におけるアンモニア燃料エンジンの安全な取り扱い方法がアンモニアを燃料とする船舶の安全性に関する国際海事機関（IMO）の暫定ガイドラインに適合することが確認された。

　NYKは、「AiP取得によって安全性、技術、環境の各分野が日本海事協会の基準に適合していることが証明され、アンモニア実用化への大きな一歩だ」とした。

　新造船は、シンガポールでの就航を見据えて設計され、シンガポール海事港湾庁から導入検討のための評価を受ける予定。就航すれば世界初のアンモニア燃料のアンモニア燃料供給船となる見通しで、脱炭素化への取り組み拡大と海事産業全体の温室効果ガスの排出削減に向けた燃料アンモニアのインフラ整備に大きく貢献するとしている。写真はAiP授与式の様子でNYKの六呂田高広次世代燃料ビジネスグループ長（中央）と日本海事協会の脊戸康吏氏（同右）。