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米USTRが中国の海運・造船市場の支配是正で緊急措置、中国船に入港手数料案
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米USTRが中国の海運・造船市場の支配是正で緊急措置、中国船に入港手数料案

 米通商代表部(USTR)は2月21日に公表した連邦政府官報で、通商法301条(貿易相手国の不公正な取引慣行に対して制裁措置を科す条項)に基づく措置として、中国による海運・造船分野での不当な市場支配と競争阻害に対する是正措置を提案した。

 USTRは昨24年4月、全米鉄鋼労組を含む5労組の要請を受けて通商法301条に基づく調査を開始。ことし1月16日に公表した報告書では、中国が大規模な補助金や国有企業への優遇措置などを通じて、1999年に5%だった世界の造船シェア(トン数)を23年に50%超まで高め、1975年に年間70隻だった米国の造船数は現在5隻に激減したと指摘した。

 中国が自国の造船・海運業界を優位に立たせるために、資金援助、外国企業への障壁、技術移転の強制、知的財産の窃盗、調達政策などを駆使し、「海事、造船、物流部門で人件費を深刻かつ人為的に抑制している」と結論付け、これを防ぐための緊急措置が必要だとの見解を示していた。

 今回の官報案では、追加関税などの輸入制限措置ではなく、中国オペレーターによる船舶の米国港湾への入港1回につき最大100万ドル、または当該船舶の純トン数1トンあたり最大1000ドルの追加料金を課す。また、中国で建造された船舶の米国港湾への入港1回につき最大150万ドルの追加料金を課すとともに、海運会社の船団で中国製船舶が一定の割合を超える場合、差等的に少なくとも50万ドルから最大100万ドルの手数料を払わなければならないとした。

 さらに、中国の造船所に船舶を発注した海運会社が入港する際にも同様に手数料を課すとしている。

 このほか米国向け輸出については、最初の2年間は積み荷のうち少なくとも1%を米国で製造された船舶で輸送することが義務付けられ、ルール発効後、この割合は段階的に引き上げられる。

 USTRは同日、措置の内容案に関するパブリックコメントを募集すると発表した。2月21日〜3月10日の間、受け付ける。その後、3月24日に首都Washingtonで公聴会を開催し、これらの意見聴取のプロセスを踏まえて、最終的な措置の内容を決定するとしている。仮に同措置が導入されれば、世界の造船、海運、物流業界の広範囲に大きな影響が及ぶと予想される。

Last Updated : 2025/02/28