6月13日に始まったイスラエルとイランの攻撃の応酬は一段と激化しており、海運業界全体に深刻な懸念を引き起こしている。
報道によれば、イランメディアは6月14日、議会の安全保障委員会委員の声明を引用し、イランがホルムズ海峡の封鎖を検討しているとした。現状、ホルムズ海峡での船舶の航行は継続されているが、船社は警戒を強めている。海外メディアによれば、6月16日にはホルムズ海峡とペルシャ湾で、900隻を超える船舶の通信信号が異常をきたし、混乱が生じたという。
ホルムズ海峡は、1日あたり約2000万バレルの原油が通過する重要なエネルギー供給の大動脈。日本が輸入する原油や液化天然ガス(LNG)の多くも海峡を通過する。ホルムズ海峡が封鎖されれば、国際的な原油価格は130ドルに達する可能性もあり、原油価格の高騰に伴うコスト上昇は、企業業績の下押し要因にもなる。
コンテナ船については、世界のコンテナ輸送量のうち、ホルムズ海峡を通過するのはわずか2〜3%とされているが、ホルムズ海峡を通過するコンテナ輸送量が制限されると、既に逼迫している世界のコンテナ輸送能力がさらに逼迫し、運賃の上昇圧力と輸送時間の延長につながるとの懸念が高まっている。
ただ、中東航路のコンテナ輸送は影響を受けておらず、イスラエル船社のZIMは同国Ashdod港やHaifa港の寄港を継続しており、CMA CGMは、インド・中東〜地中海航路MEDEXを従来のスエズ運河ルートで運航再開する計画を最終決定したとの報道もある。また、Maerskは「中東情勢を注視し、状況の変化に迅速に対応するともに、代替輸送手段を提案できるよう準備を整えていく」としている。