欧州連合(EU)委員会と加盟国理事会は2月12日、主にEC(電子商取引)を通じてEU域内に輸入される150ユーロ未満の小口少額貨物に対し、本2026年7月1日から一律に3ユーロの関税を課すことで合意し、正式発表した。
EU域内へ輸入される越境ECによる150ユーロ未満の小荷物には、これまで免税措置が講じられてきたが、その輸入量がここ数年、倍々ゲームで増え続けてきており、一昨年の2024年には46億個(1日当たり1200万個)に達している。
欧州委員会では、これによって域内では梱包用のダンボールやプラスチックが大量に発生して、物流や環境面に問題を生じさせているだけでなく、低価格な商品が無税で入ってくることによって、EU内企業の競争力に深刻な脅威を与えていると、すでに昨25年11月にEU理事会へ警告を発していたところ。
Shein、Temu、Aliexpressといった中国系の巨大量販業者が越境ECを通じて欧州各国で存在感を高めており、今後もEU域内の小売市場を席巻する可能性が強いと考え、歯止め策を講じたと見られる。
今回のEUの小荷物関税の特徴は、小荷物1個当たり3ユーロではなく、当該小荷物の中身で関税区分が異なる品目ごとに課徴される点だ。
小包の中身が、例えば木綿T-シャツだけであれば関税は3ユーロで済むが、同梱して絹のネクタイが入っていれば、1梱包に2品目ということになり6ユーロが徴収されることになる。品目が増えるごとに3ユーロずつ加算されるわけである。
越境ECビジネスといえば、低コスト/最小限の利益率/大量販売の3つが事業モデルとなっているだけに、わずか3ユーロでもコストが追加されることは、事業者側にとっても大変な痛手になりそう。
しかも話はこれで終わりではない。欧州委員会は今回の関税措置を「26年7月から28年同月までの暫定的なもの」としており、2年後に新しいEU税関データハブセンターが完成した暁には、膨大な量のEC貨物の監視に費やすコストを補填するために、当該関税の増額を検討しているとのこと。
どうやら日の出の勢いで急成長してきた越境ECにも、それゆえの逆風が吹いてきたようだ。輸入小口貨物に対する免税制度の見直しが各国で進みつつあるか、実際に見直されたからである。
巨大EC市場の米国は昨25年夏に、輸入小口貨物の関税を免除するデミニミス制度を全面撤廃した。低価格の小口貨物の輸入急増で、自国の小売事業者がマーケットを失ったり、あるいは不正薬物が流入するといった問題が生じていたため。
日本の財務省も、輸入貨物の課税価格が1万円以下の商品の関税・消費税免除について、26年度税制改正で見直す方針を示している。