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中国の電力不足:工場稼働できず出荷予定が狂い、物流業界にも影響

 この秋、中国の複数省で電力の一時供給停止や使用制限措置がとられたことで、日系企業を含む一部工場の稼働が止まるなど、同国製造業の生産活動に支障が出るようになって、新たな中国リスクとして注目を浴びている。

 中国の足元の電力不足、原因は習近平国家主席の“国際公約”にあるらしい。同主席は昨20年来、国際会議の場で「2030年までに二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、2060年までに実質ゼロとする(=双炭政策)」と、繰り返し表明している。

 そのため、国策として地方政府にもCO2排出抑制を強く指示してきたのだが、そこで矢面に立ったのが、温室効果ガスを最も多く排出している火力発電所だった。折しも、石炭価格が国際的に上昇していて、電力会社が十分な燃料を確保しにくい状況にあったことも、一部の省で火力発電の抑制に走りすぎた背景であろう。

 中国発電の主役たる火力発電所の稼働抑制を受けて当然、電力を大きく使う同国の化学品や繊維関連の製造業は、生産停止や減産など大きな影響を受けた。

 影響はさらに下流にも広がって、輸出予定されていた製品が期日までに出荷されないため、関係フォワーダーの一部は運賃高騰とスペース不足の中、せっかく押さえていた輸送スペースを泣く泣く投げ売りせざるを得なかったという話まで伝えられた。物流業にも他人事ではない。

 これは局面的な話に過ぎないが、長い目で見ても、中国政府が双炭政策を強力に推し進めていく以上、今後も一部の省で計画からはみ出た形の突然の電力供給制限がつきまとうリスクはある。それが中国の経済成長に影を差さない保証はない。

 一方、中国での製造業にも今後、電力料金の高騰という思わぬ足カセが経営面でのしかかってくることが予測される。問題の帰趨はこれからだ。

Last Updated : 2021/10/15
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