商船三井（MOL）は3月16日、同社と日立造船およびヤンマーパワーテクノロジー（YPT）の3社が、LNG 燃料機関から排出される温室効果ガス（GHG）を削減する新技術“メタン酸化触媒システム”に関して、日本海事協会（NK）から基本設計承認（AiP＝Approval in Principle）を世界で初めて取得したと発表した。

　同システムは、GHGのひとつとなるメタンスリップ（LNG燃料中メタンのうち、未燃のままメタンとして大気中に排気されたもの）について、未燃焼メタンを含むLNG燃料機関・発電機の排気管にメタン酸化触媒を配置し、触媒上でメタンを酸化させることで削減を図るシステム。

　日立造船およびYPTが、NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）の公募事業で採択されたプロジェクトの一環として、このメタン酸化触媒システムのコンセプト設計を行い、MOLがこのコンセプト設計に基づいて、実際の本船で検証運航を行った結果、このほど国際ガス燃料船舶安全コード（IGF コード）などを考慮した安全対策が織り込まれた仕様であると確認されたもの。

　MOLは、「今回の事業では、2021〜26年度までの6年間でコンセプト設計の実証を行うとともに、メタン酸化触媒とエンジンの改良を組み合わせることでLNG燃料機関のメタンスリップ削減率70%以上を実現し、LNG燃料船のさらなる環境負荷低減をめざす」とした上で、「今回のAiP取得は、同システムの社会実装に向けた重要な第一歩となる」としている。