全日本空輸(ANA)は2月27日、EC自動出荷システムを手がけるロジレスと提携して、空輸と物流DXの連携による効率的なEC物流を構築したと発表した。
従来のEC物流では、事業者(担当者)による受注処理を経て出荷指示が倉庫に送られていたことから、倉庫にデータが届くまでに時間を要していた。また、出荷のタイミングで配送手段を選別する必要があり、航空便の活用を検討する場合、最も早いタイミングで翌日早朝便への搭載となることが多かったという。
今回、ロジレスとの提携により、顧客からのオーダー/倉庫における発送作業/ANA機の貨物空きスペース活用、をロジレスのシステム「LOGILESS」で一括管理することで、輸送までのプロセスが簡素化される。
これにより航空便搭載までのリードタイムが最大で4時間短縮でき、結果としてANAでは、日中の国内線定期便が出発する間際まで貨物を受け付けられ、日中の航空機の貨物空きスペース活用が可能になるとしている。
ことし4月以降、トラックドライバーの時間外労働規制が強化されることに伴って、国内の長距離陸送が困難になることが見込まれる「物流2024年問題」を目前に、航空輸送も代替手段として挙げられるものの、輸送費がネックとなっていた経緯がある。
ANAによる試算では、「ロジレス便を活用してEC事業者が関東から九州に配送するケースで、コンテナに複数事業者の貨物を混載し、積載効率を向上させることで、現状のトラック輸送と比べて約2割の費用削減が実現可能」といい、同サービスには物流24年問題対策としての機能も見込まれている。
同社は、「まず24年4月1日からANAの羽田→岡山定期便を活用した輸送で一部のEC事業者、倉庫事業者を対象にサービスを開始する。その後、今秋をめどに全事業者へ対象を拡大する予定。さらに、東京から岡山への航空便にとどまらず、活用範囲を拡大して日本全国への翌日配送をめざす」としている。